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青嵐俳談

公開日:2018.12.07

【青嵐俳談】

 先日、第53回子規顕彰松山市小中高校生俳句大会に高校部門の選者として参加してきた。小中学生の特選に〈おんせんのだついじょしずか秋の朝 湯築小3年 山沢光太朗〉〈点Pはノートはみ出し月へゆく 新田青雲1年 森永唯〉の作品があった。前者は発見と実感が効いている。後者は発想の飛躍がよい。なんと光太朗君のお母さんは、俳句甲子園OGで、私と同年代のある俳友。唯君のお母さんは、「青嵐俳談」で常連のある方というから驚き。愛媛の俳句文化が確かに受け継がれている現場に立ち、なんともうれしくなった。

 【天】

外套の裏はサテンや土星の環今治  有友勇人

 内側のサテンを開いて見せてくれた時に、光が当たって艶が流れ、そのまま宇宙の闇夜が広がり出る。土星の環への飛躍がよい。艶が環に見える。同時作〈落葉焚アンモナイトは饒舌で〉は奇妙な童話性が立つ。

 【地】

ムスリムのチャドル新月着ておりぬ松山西中等  岡田侑楽

 言葉はやや近いが、新月を着ているという発想も、月は薄く、切り取って巻き付けられるという想定も新しい。満月へ再生する神秘的な力を宿している。

 【人】

宮殿と思ふえちぜんくらげかな大阪    大学

 茶褐色の巨体がインドや中東の宮殿をしのばせる。実際に体内にアジを住まわせるらしい。絶妙な見立てで俳味がある。漁業の害という既成概念を壊している。

 【入選】

変身のはじまりは語尾はづみ玉松山   川又夕

跳炭の音して蟲の眼玉枯る同  若狭昭宏

文殻の皺一層に焚火跡長崎大  塩谷人秀

絵描き屋のブルーシートや冬麗済美平成    まを

月天心ガソリンスタンドの無音松山西中等   岡崎唯

人の目を集め鯛焼作りをり今治西高  八木大和

辞めたつていいよ勤労感謝の日京都  青海也緒

人参のような貴方に恋をした松山東高   係結ビ

行く秋を満つオルガンの三連符同   武田歩

冬の星円周率の果てしなき同  吉田真文

日記買う通院の日に丸つける松山  松浦麗久

スイスイと瀬戸の海行く山鯨高知  野中泰風

色鳥や暗記カードを綴る午後沖縄 南風の記憶

秋深し試験監督の歩幅筑紫女学園  緒方杏里

 【嵐を呼ぶ一句】

うつむけば見開く眼・海鼠かな東京外大   中矢温

 うつむくのも、「見開く眼」を対象化しているのも、遂に「海鼠」であるのも全て自分。自意識が一人称↓二人称↓三人称と変遷する「序破急」の一句。ここでは「・」の唐突の感が成功。〈法医学・桜・暗黒・父・自涜 寺山修司〉は父恋いの名句だが、「・」は助詞等を使わず、単語の強烈な印象を純粋に重層できる。

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